シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

カオス・ウォーキング

 2021年公開のA級SF作品。

 主演はトム・ホランドでヒロインがデイジー・リドリー、敵役がマッツ・ミケルセンと期待が膨らむ陣容だ。監督がA級エンタメに手慣れたダグ・リーマンともなれば、大ヒットは約束されたようなもの。ところがまったく話題にも乗らず、和訳のソフトすら販売されない扱いである。こりゃどういうこった。

 観ると、なかなか面白い設定である。新天地の植民惑星が舞台であるが、そこでは男ばかりで、思考が常に表出されて隠し事が出来ない。そんなところに不時着した宇宙船の生き残りがヒロインとなる。オイラはロマンスと緊張がある逃亡劇に期待を持った。そして、これは結構出来の良いB級SFにまとまると思っていた。ところがあらゆる障害との対峙シーンになると、すべて半端に終わっていくのである。先住エイリアンとの対決は意味深に終わり、襲われる女性主導の集落もどうなったのか分からない。クライマックスに至っては、何故か襲い来る敵がわずか二人になっている。そして、実に凡庸なハッピーエンドで結ばれる。それでも個々の俳優は良い演技をしており、なんとか最後まで観客を引っ張るから観終わった失望はむしろ大きくなる。

 あとでググって驚いたのが、超の付くA級予算が掛かっていることで、どう観てもそんな印象は無い。どうやら、出来上がってダメ出しがあったため数年に渡って撮り直しているようだ。それでこの出来では無駄な予算消費である。むしろ廃案にされた初期プロットを観てみたい気もする。オイラが期待したラストは、ヒロインが高度なアンドロイドだったというオチだ。実際、疲れない体や機器に精通した知識、納屋で襲って来る男をスマキにしてしまうシーンがあって、伏線を思わせる。恋心を抱く主人公が、ラストに正体を知って唖然とする様相がトム・ホランドに似合うではないか。

 まあ、設定を変えなくても遥かにまとまった作品に仕上げられたはずで、これでは役者が哀れだった。


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