シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

アーカイヴ

 昨年公開のイギリス製B級SF作品。

月に囚われた男」のスタッフが再度作ったSFとの触れ込みで、期待してレンタルした。関与しているのは映像美術だけであるが、近未来的な閉鎖空間やミニチュアを使った引きの背景描写など、古参のSFファンをニヤリとさせてくれる。

 物語はアンドロイドの製作にまつわる話で、スタトレTNGにすでにあるアイディアだ。よって新味はないのだが、自立したAIが感情豊かで、愛や嫉妬に目覚めていく様が面白い。それはロボットやアンドロイドの造形があえて稚拙であり、動きが人間らしいところからして作為的だ。低予算を逆手に取った上手い演出だと思う。それでも3年弱の期間であまりにも急速なロボット工学の進歩や、不可解なセキュリティ異常と侵入警報、死んだはずの妻が幻のように現れるシーンに首を捻りながら緊迫感が増してくる。

 さてこの新人監督、どうも日本びいきのようだ。舞台が山梨県らしい。ということは富士の樹海なのか?施設のメカは日本語交じりのエヴァ風で、コンピューターの毎朝の挨拶も流ちょうな日本語だ。いや、それだけではない。

 本作のクライマックス、迫りくる敵と妻のデータ上書きを嫌がるアンドロイドにこの主人公はどうするのか。SF慣れしたオイラでも先が読めない。そして驚愕のラスト、「おお~!」と思わず声が漏れてしまった。なるほど、多くの不可思議が納得できる見事な脚本だ。「シックスセンス」を初めて見たときの感慨に匹敵した。

 そして、この作品は星野之宣氏の初期短編作「荒野への脱出」と展開がソックリだと思った。この新人監督はこの古い短編SFをきっと見ているに違いない。


映画「アーカイヴ」予告編

 久しぶりにB級SFの本懐を堪能した。お勧めである。