シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

タイム・チェイサー

 2013年製作のSF映画で、おそらくC級品。

 タイムトラベルもので、主演がハーレイ・ジョエル・オスメントなので興味が湧いた。あの「シックス・センス」や「A.I.」の天才子役が、髭もじゃの大人となって登場。その母親役が「Xファイル」のジリアン・アンダーソン。やっぱりいい女だ。

 さて、本作はSFといってもまったくそれらしい映像やギミックは出てこない。ワームホールを使った時空間移動もほとんど説明は無く、帰ってくる術も分からない。登場人物が皆、学者レベルの頭脳を持った設定なのにハードSFの趣は無いに等しい。

 ストーリーは父親が過去に失踪してから家庭崩壊が始まる。悲劇を起こさないために息子が父を追って過去に戻る話。この脚本がユニークなのは、タイムトラベルは直列時系列移動を前提としていて、主人公の母親の自殺や子供の消失といった悲劇はタイムトラベルとは無関係だという事。別に父親は単に失踪しただけでもいいわけだ。しかもご丁寧に過去に戻った父親は未来を変える前に死亡していて、未来を変えた要素は全く無い。主人公は過去に戻って父親と再会し、説得に応じない父親の前で自決する事により、未来の悲劇を訴えることで父親は死なずに現代へ戻る・・つまり、まったくタイムパラドックスを起こす要素はないのである。

 矛盾を生まない直列時間旅行の作品は珍しい。しかし、過去に戻るまでの会話に変なところがいくつか散見されるので詰めが甘く感じる。金が掛かる大道具は無くてもいいが、しっかりハードSFの骨子を持った作品にすればよかったのに。残念である。


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