シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

トゥモロー・ウォー

 本来、2020年に公開予定だったA級SF大作。新型コロナのおかげで公開が見送られ、終息の目途が立たないことからアマゾンに売却された作品だ。よって、今でも本作はアマゾン・プライムビデオの契約者しか観ることができない。

 主演はクリス・プラットで、彼は人間以外の怪物と戦う主役が多い。本作も例外なく、相手は地球を滅ぼすエイリアンだ。設定が面白く、30年後にエイリアンが攻めて来て、壊滅寸前の地球人が過去に戻って助けを求めてくる。徴兵された現代人が戦いに未来へ行くわけだが、そのとんでもない出来事に何のパニック描写も無く話は進む。実に無駄を省いた潔い流れだ。

 この作品の見所は、主人公が30年後の未来で共闘するのが、たくましく育った自分の娘であるという点。彼女は幼い自分を残して家を出て死んだ父親を憎んでおり、そんな未来を知らされてショックを受けた主人公が地球を救うべく立ち上がる。

 近未来へのジャンプはパラドックスが問題となる。ここでは40歳以上の人を徴兵することで、未来の自分と合わないようにしているが、タイムパラドックスはそんな単純な話ではない。未来で開発した毒素を現代に持ち帰って敵を倒すという発想自体にパラドックスがある。何故なら、絶滅寸前にならなければ開発できなかった毒素を使い先手を打って勝ったら、そもそも対エイリアン毒素自体が存在しなくなるからだ。本作を見ると、タイムジャンプが直列時間軸のようだからこの矛盾が避けられない。

 せめて、毒素を現代に持ち帰った現代で、最愛の家族を再認識する場面で終わらせれば、B級SF作品の時間枠でまとまりがあったように思う。しかしまあ、硬い事を言わずに憎たらしい怪物エイリアンを、最後はスカっと退治するのを楽しめばいい。それがエンタメ大作だ。


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※アイディア的にも本作はコメディにすればよかったと思う。