シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

リセット 決死のカウントダウン

 2017年公開の中国製A級SFアクション。前回、中国製の超くだらないB級SFを観たので、もののついでにA級の予算でやったらどうか拝見してみた。

 ジャッキー・チェンが製作し、主演に今注目女優のヤン・ミーを起用。流行りのタイムリープものであるが、ハード路線にチャレンジしている。110分前の過去に戻ることができるが、それはパラレルな世界であるという前提であり、パラドックスを回避して自由な発想でアクションを織り込んだ作品だ。

 米中の企業戦争に主人公の一人息子が巻き込まれ、命を落とす。それを助けるため開発途上のタイムマシンで110分前に戻り、・・を2回繰り返すことで主人公は3人になる。息子は助かるが、過去に戻ってきた2人は細胞が破綻してしまう・・このアイデアはありそうで無かった。それに、SFといっても実際は怒涛の現代アクションの中で執念の親子愛を描いている。ヒューストンの映画祭で大賞を獲り、主演女優賞まで受賞した作品らしい。よっぽどレベルの低い映画祭だったようだ。

 本作はハードな路線でSFを扱おうとしているが、それには明らかに力不足で10年早い。だからこそアクションと親子愛を主体にしているのだ。そうだとしても、アクションシーンのカメラワークや編集も下手で、展開は早いのにスピード感がない。分かりやすい反面、リアリティが欠如してしまっている。

 さらに致命的に破綻しているのが、物語に筋が通っていない事で、悪役が主人公親子(特に子供)を殺そうとする理由が無い。そのくせ、データを奪った後に子供を助けたければ過去に戻れ・なんてアドバイスをしている。また、裏切者だった所長が長年連れ添った部下を殺そうとする理由もない。そんな意味不明な憎悪で話は進んでいく。なんておバカな脚本なんだ。┐( ´- ω-`)┌

 加えれば、戻れる過去はパラレルな世界なのに、2回目のタイムリープで1回目のタイムリープした本人と遭遇することに疑問がある。パラレルワールドと言いながら、まったく同一の時間軸で直列移動をしているとしか思えない。

 以上、ジャッキー御得意の能天気なアクションコメディであれば、すべて問題にならないツッコミである。むしろ、この素材は製作者の性格が反映してコメディ向きだ。それはシャイニングをパロったり、主人公が過去に戻るたびに性格が破綻してOO7ばりのアクションをする点からも伺える。素直に笑いとアクションと親子愛でいけばよかったのだ。


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