今年5月に公開された空想特撮作品「シン・ウルトラマン」がアマプラで配信された。極力前情報を避けて拝見、たしかに「シン・ゴジラ」のスタッフらしい、センスのあるリブート作品だった。
あらゆるシーンでオリジナルへのリスペクトが伺え、これは間違いなく、幼少の頃にTVに噛り付いて観ていた「初代ウルトラマン」の記憶を持つ世代がターゲットであろう。とても美味しく料理してくれたものだ。子供向けの荒唐無稽なヒーロー作品だったものに、似非科学的解釈を貼り付けて大人も観られる物語に仕上げている。オリジナルの美味しい所を残すとオカシイときは、あえて劇中で突っ込んで笑いのネタにしてしまう。実にアッパレな対処だ。ネロンガの最大の特徴である姿が消えるのも、「意味ないじゃん」と熱画像で見るシーンには笑った。つまり、あまり緊迫感を観客に持たせないエンタメだと宣言しているのだ。メフィラスとウルトラマンの会話も面白い。この元ネタはウルトラセブンとメトロン星人の、ちゃぶ台を挟んだ会話のシーンであろう。
あまりに楽しいシーンが多くて、肝心の戦いのシーンが地味に映ってしまうのが難点か。実際、どんな敵よりも巨大化した長澤まさみがよかった。最高だったのが、変態犬と化したウルトラマンが長澤まさみの体を嗅ぎまくるシーンで、何日もシャワーを浴びていない彼女の恥ずかしそうな表情にメチャ興奮したぞ (//Д//)!観終わった後、もはやこのシーンしか記憶に残らない。
本作はシン・ゴジラ同様、日本政府を揶揄する意図も感じられるが、もっとポップで酒を飲みたくなる楽しさがある。リピートしたい作品だ。
日本人はこうした表情の無いヒーロー達の活劇に慣れているが、アメコミ文化の米国ではどう感じるのか・・興味深い。