逆オルソン方式は、ステレオスピーカーを2本中央に寄り添わせ、前方をハの字に開くセッティング法だ。故江川三郎氏がクロストークを避ける方法として提唱したと記憶している。
オイラも昔、スピーカーを自作していた頃に試したことがある。しかし、センターラック方式でTVを中央に据えるスタイルには向かないため、興味は湧かなかった。
懇意の店でFAL Supreme S C60の姿形を見て、これは逆オルソンにセットしてもサマになるデザインだと思い立ち、実験してみることにした。ちょいとスピーカーを入れ替えて中央に寄せるだけなので、セッティングは簡単だ。見た目はやはり悪くない。おそらく、これほど逆オルソンが似合うスピーカーもあるまい。では、肝心の音はどうか。
期待したほどのものは得られなかったと言っていい。まず、当然であるが広がりが得られない。この違和感は大だ。そして、かなりハイ落ちとなる。そればかりか、中域が肥大しすぎて低域も不足して聴こえる有様だ。スピーカーの間隔を少し広げてみると、広がりや奥行き感は改善してくる。しかし、さらにハイ落ちになってキレも無くなってしまった。
ガッカリな結果であったが、当然スピーカーによってはバランスが取れるかもしれない。フルレンジのFALには向かないようだ。それでもこの方式は、2本のスピーカーを部屋のコーナーに押し込むしかない場合は日の目を見ると思う。