シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

FAL SupremeC90EXW 二度と作られない希品 その2

    その音については、具体的に書くのが難しい。自分の子供は悪く言わないものだからだ。極力客観視していえば、まず色付けの無い力感のある高域に注目した。それは、導入時に自宅のリファレンスだったB&W N802の高域が、アルミ臭いと分かるほどだった。そして能率が高い。ホーンスピーカーでもないのに97ⅾBあるのだ。これが音抜けの良さに寄与している。フラットユニットからは個性的な音はしない。これはSupreme S C60を聴けば分かりやすい。一聴して物足りないほど素朴である。よく言えば自然か。これは古山のおっちゃんの趣味性に通じているようで、FALがSPケーブルとして推奨する極細のインターフォン線も実に素朴な音なのだ。

 そしてなにより特徴的なのが、低音が出にくいということ。これは、DF値の小さい真空管アンプで鳴らす前提で設計されているからで、さらに強力なマグネットがオーバーダンピングにしている。専用の低域ブースターが別売されたくらいだから、シンプルなトランジスターアンプでは痩せた音になると言っていい。

 指向性が実に広い。能率が高くて指向性が広いというスピーカーを他に知らない。おっちゃんは試聴会でそれをアピールするためか、スピーカーを向かい合わせにセッティングして披露した。そのときの独特な音場感は聴いたことのないもので、それに嵌った御仁が自宅で左右が相対するセッティングをした写真を見ることがある。FALの中古品の中にはこうして使われたものがあるので注意が必要である。何故なら、発注時にセッティングがオーソドックスか相対させるかでコンデンサーの値を変えているからだ。このようにFALはオーダーメイド注文も受けるので、外観は似ていても中身はオーナーによって違う場合がある。しかも予告なき改変があって、発売時期で音が結構違うため、中古品を決して未試聴で買ってはならない。

 セッティングについては、基本的に壁から離すのがセオリーである。ほぼ無指向性スピーカーを扱うつもりでいたほうがいい。そして、太いSPケーブルは使わない事。これはおっちゃんから念押しされた。

 おっちゃんの枯れた元気な声がもう聞けないのが寂しい。オイラが還暦になるくらいだから当然であるか・・この部屋で「わしが死んでも壊れないように作ってある!」と言ってたのが懐かしい。それでも初期のユニットは振動盤の表面が劣化(原因不明らしい)する場合があるので、留意してほしい。