シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

FAL SupremeC90EXW 二度と作られない希品

 FALは昨年の秋に操業を停止した。古山のおっちゃんは完全引退し、これまでのFALスピーカーのメンテは、FALの職人か景山式ユニットを熟知した調所電気の職人が受け持っている。このままFALは、知る人ぞ知るユニットとして歴史に埋もれていくのだろうか。

 もはやFALが新商品を作ることはない。よって、オイラのメインスピーカーは死ぬまで変わらないだろう。これまでFALのスピーカー情報を得る度に書き込んできたが、その情報は売れ筋商品のSupreme S C60がほとんどだった。よって、オイラのメインスピーカーについてここにまとめてみる。ちなみにホームページの仕様等で分かる情報は割愛しよう。

 まずはそのユニット。これは古山のおっちゃん(以下、おっちゃん)が発明したものではなく、景山式平面スピーカーという方式で先に調所電器が商品化しており、それを強化して完成したものである。だから調所電器の職人ならFALのユニットの修理ができるのだ。昔ある大手メーカーが大量生産を試みようとしたが、職人芸で製作する必要があるため断念している。基本的にフルレンジであり、予告なき変更としてマグネットを強化したことがある。C90は大型であるため、高域の補完にハイルドライバーユニットを採用しているが、ELACなどが採用しているものとは物量が違う。これらをバーチカルツインに組み、低域の補強に2つのパッシブラジエターを用いる類を見ない構成だ。

 エンクロージャーは側面が湾曲した台形状をしており、レトロな柱時計を思わせるデザインである。Supreme S C60と違い、外注業者の変遷は聞かれない。「MDFは音が死んでしまう」とおっちゃんは断言していて、良質な合板に突板を貼って仕上げている。ブラジリアンローズの突板を貼った豪華仕様があるが、この実物は誠にケバケバしい。談話したとき「この位しなきゃ世界と勝負できない。」なんて言っていたが、呆れたセンスだ。(笑)

 中には綿系の吸音材がギッシリでネットワークが無く、なんとハイルドライバーとはコンデンサー1発で繋いでいる。これができるのはFALのユニットだけだろう。内部配線は以前はベルキン製を採用していたが、晩年は日本オーディオの7N木綿巻き線を採用した。FALのスピーカーで謎なのはターミナルで、4端子セット800円の安物を全てに採用していた。(C40ESの試作品だけ例外)我が家のものは初期ロットでもあり、その金メッキは酷く劣化している。しかし、おっちゃんは頑として変えなかった。

さて、その音と使用感については次回としよう。      ~つづく~