シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

チャッピー

 2015年公開の米国SF作品。

 ロボット警官が主体となった近未来、開発技師がその中の一体に知性を与え、成長する中で町のギャングやロボット産業の悪意に巻き込まれていく話。その内容と展開はとても分かり安く、アトムのようなテーマと醜い大人への風刺が効いた作品だ。

 監督と主演はニール・フロムカンプとシャールト・コプリーで、「第9地区」「エリジウム」と同じコンビだが、コプリーはロボットの声とモーション・キャプチャーを担っている。また、ヒュージャックマンが珍しく悪役として登場する。

 さて、ディズニーで配給しそうな題材であるが、無垢なロボットには住みにくい人間社会をストレートに見せるので毒もある。それでもロボットの成長が早い事と、純真な子供の様相が相まってコミカルな印象もあり、不要に暗く辛辣になることはない。観客のだれもがチャッピーを応援したくなる構成だ。この流れは、最後まで良識あるロボットとして大切な者を守り、事切れていく悲劇にしそうな予感を覚える。ところが意外なクライマックスが待っていた。

 追い詰められたチャッピーは、瀕死の創造者と自分の意識を別のロボットに転写して難を逃れる。そして、自分の母と慕っていたギャングの女も新たなロボットとして復活させる・・あまりにも突飛な脚本だろう。チャッピーの進化したAIを他のロボットに転送するだけならいいが、人間の意識まで同列にするのは近未来設定から飛躍しすぎている。真っ先に死ぬと思われたギャングのリーダーは、最後に親心が出てチャッピーたちを助ける展開といい、無理やりハッピーエンドに仕向けた感が強い。その先に彼らの未来が見いだせない終わり方だ。ここはやはり、良識のあった人を死なせることもなく、死んだと思われたチャッピーの意識を転送して助かりました・・くらいで終わった方がいいだろう。まあ、ほとんどディズニー映画になってしまうが。


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