シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

レプリカズ

 2018年製作の近未来B級SF作品。
 主演はキアヌ・リーブス。こうした作品に主演するのは珍しい。A級娯楽エンターティメントに疲れたスターが、味のあるB級品でジックリ魅せる・・そんなパターンの一つと踏んでレンタルした。ところが残念な出来である。
 死者から意識を転写する、人間のクローンを作る、この手のSFは真新しいものではない。また、この題材は倫理との兼ね合いで、最終的な落としどころがポイントになる。そうした意味で、この脚本は面白いと思う。どうしてもネガティブな結果になりがちなテーマを、逆手にとってハッピーエンドに仕上げている。とくに主人公が最後にとった手段がこの作品ならでは解決法でユニークだ。では何が残念なのか。
 実に展開が不親切だ。しかも重要な部分で疑問が残る。悪役のジョーンズは、なぜ主人公の家族がクローンだと知っていたのか。解釈としては、クローン再生を無理やり手伝わされたエドがチクリ相談した結果、軍需転用の近道と判断したジョーンズの策略だったと考えるしかない。わずかな会話の中で、そこまで観客に想像させるのは無茶ではないか。さらにラストの解釈は、主人公がジョーンスの意識をクローンに転写して、軍需産業のスパイだった記憶を操作したのか・・とまで観客は想像しなければならない。これはSF作品ですべき編集ではない。他にも、ハードな作りゆえに多くの疑問が穴として残ってくる。
 本作は、クローンを新しい視点で見た面白い脚本を、演出の下手糞な監督が台無しにした一遍だ。

www.youtube.com

クローンを臓器移植の延長として肯定する画期的な話なのに残念だ。