シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

私家版魚類図譜

 久々に諸星大二郎である。以前も言ったが、オイラが買う漫画は星野宣之と諸星大二郎だけである。まあ、「うしおととら」みたいな例外もある。
 私家版魚類図譜は別冊モーニングで10年以上前に発表された短編集で、その前に私家版鳥類図譜という短編集がある。オイラは「鳥」の後に「魚」バージョンがあったとは知らなかった。たまたま本屋で見つけて、なんてこった・・すぐ読まなくては!となった次第。
 彼の作品は幻想的で、SFや考古学や伝承をテーマにオドロオドロシイ独特の世界観と、それを倍増させる唯一無二の画風が魅力だった。しかし彼も年を喰って丸くなったのか、晩年は話が優しくなり、ファンタジー色が濃い作品になってきている。実際、鳥類図譜はホラー色が強く暗い印象だが、魚類図譜はハッピーなおとぎ話のようだ。以前ならそれを遠慮なく批判しただろうけど、オイラも同時に年を喰った。最近は刺激が薄いファンタジックな小品が好ましく感じる。
 本作は時間があるときにノンビリ見るのがいい。印象に残らない作品が横行する中で、とても感慨深い作品集だ。一話ごとに、その世界にどっぷり浸かって読み終えるとホッコリした気分になる。