シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

インフィニ

 オーストラリア製B級SFサスペンス作品。
 役者も監督もほぼ無名。ツタヤレンタルオンリーのオリジナルシリーズの一本。主演している俳優が、なんとなくジュード・ロウに似ていなくもない。この作品を表面的に見れば、たしかに他のレビューが言う「エイリアン」や「イベント・ホライゾン」の風情を持った密室劇だ。しかしSFに拘らなければ、閉所で狂気と化した人間が互いに殺しあう状況を描いたものはたくさんあって、金をかけないで緊迫感を演出するありふれたものである。この作品の感心する点はやはりラストのオチだ。観終わると、これは諸星大二郎の「生物都市」のようにも見えてくる。
 そうは言っても物語のほとんどは、感染による仲間同士の殺し合いの緊張感で引っ張る。どう締めくくるのかと悲劇を重ねていくのはいいが、主人公以外のキャラが何も分からないので人物関係が希薄で飽きてくる。観ていて「あと誰が残っているんだ?」「こいつは誰?」となるのが正直な感想だろう。
 オチの解釈を観客に任せているところがあるので、SF慣れしていない人は唐突な展開に疑問を持つだろうし、人によっては真逆な見方もあるが、構成的に悲劇を暗示する終わり方を監督が望んだとは思えない。オイラはスタトレ・ファンでもあるので、この作品のラストはポジティブな見方をしたい。つまり原始的な異星生命体が人間を学んだという見方だ。そうであれば、スタトレVGRの「人呼ぶ流動生命体」の二番煎じであり、残念ながらTVドラマを超えられない。まあどんな見方にしろ、最後の検疫シーンをあれほど引っ張る必要はない。
 題材は光るものがあるのに、ヘタクソな造りでもったいない作品だ。