シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

マグネットで対策 その7〈MAIN)

 TADのサブシステムで絶大な効果を魅せたマグネット対策も、FALのメインシステムでは思わしくない結果だった。(2023-6-2 マグネットで対策 その3 参照)

 その理由は概ね理解しているつもりだ。音そのものを聴くためストレートな音を突き詰めたサブシステムと違い、メインシステムは心地よさを演出している。具体的に言えば、アキュレートな音を主軸に管球式の音色を纏わせているため、マグネット対策が裏目に出て化粧が剥がれることもあるのだろう。しかし、この対策は部位によって変化の傾向が異なると分かった。まだメインシステムのアナログケーブルは試していない。DAC~プリ間のシルバーパルスRCAとプリ~パワー間のエクリプスXLRに、100均ネオジウムマグネットを付けてみよう。

 とんでもない事が起こった。明らかに音が大きくなっている!よくある音圧が高く感じるというレベルではない。何度も言ってきたが、オイラはCDごとに試聴音量を記録している。飽和寸前の音量だ。今回何を聴いても音が大きすぎるため、音場が部屋に負けて音像が保てなくなっている。若干ハイ上がりのバランスだが、SNが良いので透明度は高い。アキュのボリュームで2dB下げて元の音量となった。

 その音は全域で高精度、輪郭明瞭でピンポイントの音像が点在して星空のようだ。クラシックだと音像同士の隙間がハッキリするためか、一聴して音数が減ったような違和感がある。それにしても驚愕の分解能である。硬質ではないが贅肉はまったくない。そこで困った事が出てきた。60年代の懐メロは録音の粗が丸見えになってしまい、音楽がまったく楽しめない。そうでなくてもポップスの伴奏が立ちすぎてボーカルと別撮りが丸分かりである。これでは音を聴くサブシステムと変わらない。

 この音は水を高速シャッターで撮った画を思わせる。水滴が落ちた瞬間のような画には新鮮な驚きと美しさがあるが、清流や滝の流れを美しく表現できない。それにはシャッター速度をわざと落とす必要があるのだ。

 やはりメインシステムには合わないと実感。まず、DAC~プリ間を外す。すぐ分かるのが音量が1ⅾBは下がった事。さらに、心地良さが帰ってきた。そしてプリ~パワー間も外すと、実に自然でこれが音楽を聴く楽しさだと納得。元に戻っただけで何のこっちゃであるが・・その3の結果を再認識した。

 マグネット対策は音楽を音に分解してしまうようだ。また、音が2dBも大きくなるなんてヤバイ気もする。ケーブルにとって、ボディビルダーステロイドのようなものかもしれない。その薬漬けとなったサブシステムは音を聴く検聴器として面白いが、自然な再生音とは言えまい。この試みはメインとサブの住み分けに明確な線引きをもたらした。

 結論が出た後、外した4セットのマグネットを試しに仮想アースに付けてみた。アースラインがノイズを拾うという噂を聞くので、何か変化があるかもしれない。その結果、なぜか酷く低音が痩せてしまい即外すことに。

 このマグネット対策は音の変化が実に大きい。ただし、どんな変化が起きるかは場所によって様々だ。安価で簡単にできてしまうだけに恐ろしい。100均だから安易にお勧めしていたが、色々分かっているベテランでないと方向性を誤るかもしれない。