シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

諸星大二郎 新刊

 諸星大二郎の新しい豪華単行本が発売されていたので購入。彼の作品は未見なら即買うことにしている。星野之宣の作品と同様だ。
 今回入手したのは、「瓜子姫の夜・シンデレラの朝」と「夢見村にて」の2冊。前者は、世界の童話や寓話をブラックにアレンジして諸星ワールドに仕上げてある。近年、彼はこの手のアレンジを好んで作品にしているようで、グリムのような童話と悍ましい言い伝えの近似性を楽しんで膨らませているように見える。ただ、本作が目を引くのは実にホノボノとした味わいがある事で、この妙味は諸星大二郎ならではだ。
 後者は妖怪ハンターシリーズの最新版。シリーズなのにその主人公であるべき稗田礼次郎がほとんど出てこない。シリーズの中で脚光を浴びだした彼の学生や友人が謎解きの主役となる。この霊能者の娘と友達が諸星作特有のおどろおどろしい風情に、可愛らしさをミックスしているのが見て取れ、昔の暗い雰囲気が好きなファンには物足りないかもしれない。明らかに「栞と紙魚子シリーズ」のエッセンスを加味しているようで、オイラはこの味わいがなんとも心地よく、ニヤけてしまうのである。o(^▽^)o
 ハードでダイナミックな音を突き進んだジャズマニアが、年齢を経て温かみを求めたようなものだ。