2022年公開の超A級サスペンス・アクション作品。
いわゆるバットマンの最新作だ。名作となったダークナイト・シリーズの後、よくも同じコンテンツの作品を作る気になったなあ・・もはやバットマンは忠臣蔵と同じようなものなのだろう。
本作はなんと3時間に及ぶ大作で、さぞかし弩派手な映像がテンコ盛りかと思えば肩透かしをくらった。これはアクション控えめな推理サスペンス作品であって、よくあるヒーローエンタメとは全く違う。絶対劇場では観たくない部類である。今はサブスクだから自由に休憩できる。また結構込み入った内容で、暗い映像に緊張感が続くため3時間はとても疲れる。でも決して悪い内容ではなく、頭脳派の悪役リドラーの個人的正義の復讐がいい。クライマックスに突然現れるリドラーの仲間は、以前なら違和感大であるが、SNSで共感する集団狂気が今のご時世なら理解できる。
バットマンを演じるのが、ロバート・パティンソンと言うのが意外だ。イケメン優男がヒーローの主役をやるのも時代の変化だろう。マッチョの時代は終わったのかもしれない。リドラーの他に、ペンギンやキャットウーマンも登場するが、あくまでもリアリティを重視した社会派の風情を魅せてくれる。穿った観方をすれば、これはバットマンである必要もないだろう。ストーリーを変えずに、大金持ちの探偵という新キャラだっていいはずだ。
マット・リーブス監督は3部作を考えているという。ならば2,3作目も3時間レベルの大作を予定しているのだろうか。「ロード・オブ・ザ・リング」じゃあるまいし。