シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

キングスマン:ファースト・エージェント

 2021年公開のA級アクション作品で、キングスマン・シリーズの3作目。

 本作はキングスマンという秘密諜報機関が発足する前日譚という設定で、第一次世界大戦が勃発寸前のイギリスが舞台となる。最初に断っておくと、これはまったくダメダメ作品であるので、ネタバレ全開で思いっきり貶したい。

 まず、前2作がコメディ仕立てであったのに、本作はマジメ路線なのが意味不明だ。キングスマンらしさは皆無と言ってよい。前日譚らしく最後は締めくくるが、キングスマンという老舗テーラーがなぜ世界的諜報機関の始まりなのか説明が無い。だからこれがキングスマンのシリーズ発端である理由も無いのである。ラスプーチンと対決するまではいい。ダンスのような敵の振舞いに、これからやっと面白くなると観客は期待する。しかし、それから主人公の息子が戦場で悲しすぎる最後を遂げる流れは何なのか。テンション爆下がりで、しかもその金の掛かった戦場シーンは、本編とは関係が無いのである。あきれた脚本だ。

 脚本の穴といえば、敵の親玉の正体だ。クライマックスで、意外なヤツが黒幕だった・・というオチにしたいのは分る。でもそれが主人公の身近な№2レベルでは、世界中の曲者を恐怖で従える組織の在り様が成り立たない。キングスマンらしくコメディにすれば突っ込まれないものを。

 執事のジェマ・アータートンジャイモン・フンスーは良かった。しかし、主人公のレイフ・ファインズはいけない。そもそもアクション俳優でないし、コメディ俳優でもない。だから変にマジメ路線にするしかない。彼はボルデモートとMのイメージが強すぎるのだ。もっと生意気な若造で世間知らずのオボッチャマにすればよかった。さすれば、2人の執事との掛け合いがもっと面白くなっただろう。クレジット中のオマケ映像がさらに呆れる。まさか本作の続編を期待させるつもりだろうか。

 マシュー・ボーン監督はX-MENキック・アスを見ても分かるが、最初の作品は素晴らしい。キングスマン・シリーズの監督続投は本意だったのだろうか。大人の事情で続編は本来の意向を出せなかったのかもしれない。


www.youtube.com