2023年公開のB級スパイアクション作品。
ガイ・リッチーが監督のエンタメ・アクションなので、斬新なアイディアが期待された。観終わると結構オーソドックスな路線のアクション・コメディ仕立てで、安心して観ていられるポップコーンムービーだ。
主演はジェイソン・ステイサム、脇にケイリー・エルウィスやヒュー・グラントといったベテランが味のある個性を魅せているので、コメディといってもマンガチックにシラケることはない。本作で注目するのはジョシュ・ハーネットだ。久しぶりに見た気がする。役どころが面白く、アクションヒーローの役者が本当のスパイ活動に巻き込まれるというもの。コメディ部分の全てを彼が握っていると言ってよく、彼が主役の本格コメディという路線もできたと思う。しかしこれはステイサムのための映画である。彼は何を演じてもほとんど同じだ。本人も声優も楽ちんこの上ないだろうが、飽きないのだろうか。今回も得意の肉弾アクションを魅せるけど、クライマックスがやけにショボくれている。これは、最後の敵が今まで探ってきた黒幕ではなく、ライバルの同業者になってしまう脚本に原因がある。したがってスケールが小さくどうにも盛り上がらない。
構成がTVシリーズのようなものなので、すぐにでも続編が作れそうだ。でもこの路線なら、映画でなく本当にTVドラマで十分であろう。