2015年公開のA級スパイ・アクション作品。
これは小学生の頃に観たスパイ番組「0011ナポレオン・ソロ」の前日譚としてリメイクしたものだ。オイラにとって当時最も有名な外国人といえば、ロバート・ボーンかチャールトン・ヘストンであった。そんな強烈な印象を残したソロ役をヘンリー・カヴィルが負けないカッコよさで演じている。
本作はガイ・リッチー監督のセンスの良さが光った良品だ。デコボコバディが敵に核が渡るのを防ぐというありふれた話なれど、1960年代の町並みや内装、ファッションが実にオシャレで、アリシア・ヴィキャンデルのツイギー風衣装がメチャ可愛い。そして、アクションシーンにCGを使わず、まともなラブシーンはあえてスルーしている。明らかに当時のTVドラマ風情を大事にしていることに感心した。それでいて、イケイケな音楽でスピード感と明るさを加味した流れはとても好ましい。さらに感心するのが、本来山場にしたい派手なシーンをあえて無声モノクロにしたり、分割映像で尺を縮めて表現している点だ。「魅せたいのはそこじゃない」というガイ・リッチー監督の大胆なセンスが全体を通して成功していると思う。
007のような派手さやジェイソン・ボーンのハードさが無くても、こんな楽しいスパイ活劇が作れるというシニア向け作品だ。