シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

クロール -凶暴領域-

 2019年公開のB級パニック・ホラー作品。

 監督はホラー系のB級映画に手慣れているアレクサンドル・アジャ。制作にサム・ライミが一枚噛んでいる。演者にスターを使わず、極力登場人物を少なくして低予算化をもくろみ、それが見事に功を奏して大変緊張感に溢れたリアルな作品となった。

 舞台背景が巨大な台風のさ中で、確執のある父親を捜しに旧実家へ赴く娘の奮闘を描く。でも戦う相手は嵐ではなく、ワニであるのが新しい。実にローカルな視点で、作品舞台の半分は水没寸前の床下という着眼点がすごい。排水口から侵入したワニが突然襲って来る演出は、昔からあるビックリ箱方式だがそれが的を得ている。サメが襲って来るヤツは見飽きているので、近年では巨大になったり頭が二つあったり空を飛んだりとギャグ化してしまった。日本ではワニが身近に存在しないので、リアリティのある恐怖は味わえないかと思ったら、素晴らしい演出でハラハラしっぱなしである。本物にしか見えないワニと、徐々に悪化していく嵐の背景がとてもよくできていると感心した。

 90分弱と言う上映時間もいい。この短時間でしっかり親子の描写がなされていて、主人公の圧巻の活躍に見惚れてしまった。これぞB級ホラーの醍醐味だと推薦したい。


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 「ビースト」と同じパターンであるが、ダレるところが無い本作の方がオイラは気に入った。私的にエンドロールの後に、傷跡の生々しい主人公が水泳大会で獣のような泳ぎを魅せる・・みたいなオマケがあってもいい。