シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

ブラックボックス

 2020年配信公開のB級SFサスペンス作品。同名作品で副題が「音声分析官」や「記憶の罠」と付くものがあるのでややこしい。

 本作は、記憶障害の男がある画期的なバーチャル治療を受けて他人の記憶が呼び覚まされていく話で、謎とホラーな緊張感がグイグイ観る者を引き込んでいく。これはまったく無情報で観て大正解の良作だった。

 主役の俳優だけどっかで見た顔だ。ググると、ジュラシック・ワールドの最新作で上司を裏切って味方になった印象深い人だった。本作の登場人物はほとんどが黒人だが、作品の趣旨内容とはまったく関連が無い。

 序盤の記憶が無いシングルファーザーと娘とのやりとりは退屈だったが、観終わってリピートしてみると、隠れた人格の表出や罠への作為、クライマックスの感動への伏線が細かくあちこちに張られていてそれが自然に流れている。実に丁寧な演出だ。中盤からの展開はもう目が離せなくなる。バーチャル治療中の、貞子のような不気味な男がホラー感を増しているけど、実はホラーではない。正体が判明すると納得できる美味い脚本である。

 ハッピーエンドでありながら、不安な要素を残すB級ホラーテイストを最後まで醸す演出もいい。そしてなにより、見事な演技に裏打ちされた感動できるストーリーが気に入った。久しぶりに低予算SFのお手本と言える一品だと思う。


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リピートして観ると感心する上手い作りだ。