シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

バブル時代の国産スピーカー

 バブルで日本が湧いていた頃、オイラはオーディオに趣味として向き合うようになった。あの頃は家電量販店でもオーディオコーナーがあって、多くの国産スピーカーを試聴させてもらった。

 当時は故・長岡鉄男氏の評価も絶好調で、スピーカーの選択に舶来品は無かった。598戦争などと言われたスピーカーの価格競争は、まさにバブルの特徴的な異常事態だった。長岡氏はスペック(カタログ以外の物量投資)を主として評価するものだから、バブル時代の商品は全て宝物に見えた。今思えば、ハードでダイナミックな音としか国産スピーカーを表現していなかった気がする。

 友人もオンキョーD-77XXやビクターSX-511などを持っていた。オイラは小型のダイヤトーンDS-500を買って失敗したと思い、後になって半額処分品のDS-2000HRを買ったものだ。当時まだオーディオのイロハのイも知らないで、あちこち聴きに行ったものだった。どこでも共通するのがキラキラした高域と沈んだ低域で、中域はビクターが張り出してダイヤトーンが引っ込む傾向があると思った。なるほど、これが高級な音でメーカーにより個性があるんだな・・と興味深く感じたものだ。振り返れば何とも浅い見識で若気の至りであったが、この世界は面白いと興味を持つようになったのは、バブルスピーカーのおかげでもあったわけだ。

 今では中古の粗大ゴミ扱いなのが悲しい。程度の良いものをあまり見かけないし、あのフルサイズ3ウェイのデザインは市場に受けないだろう。オンキョーやヤマハが現代にリブートしてみせたが、成功したとは思えない。そもそも、大きなブックシェルフに専用スタンドという形式は変だったのである。バブルの10年ほど前にヤマハのNS-1000Mがモニターとして評価され、一般市場でも人気を得たためにこの形状はウケルと思ったのだろうか。

 バブルが弾けた後は、AVシステムに多くのメーカーが主力をシフトしていった。あんな時代は二度と繰り返さないだろう。

バブルを代表するSX-511 コストが掛かり過ぎて、すぐ後釜が登場する羽目になった。しかし、音は中域が張り出した個性派のバランスだった。あまりにも高価なユニットだったため、長岡氏が箱の作り直しに挑戦したこともあった。