2020年公開のロシア製B級SF作品。
まず本作の内容とポスターやキャッチコピーがまったく違うことにニヤリ。客寄せによくある商法だが、ここまで違えばギャグの域である。マーケティングサイドの依頼人に、宣伝準備が出来たときの心境を是非聞いてみたい。
それはさておき、本作はコロナ下でありながら米国でも割とヒットしたらしい。観ていてそれも頷くものがある。ロシア製映画ののんびりとした間の悪さが無くて、サスペンスホラーの出来がいいのだ。良い意味でB級らしさがあり、SFホラーのよくあるパターンかと思えば、本作ならではの独自色が後半に見えてくる。派手な戦闘は無く、グロな描写もあるので、これは事前情報を知ってから観た方がいい。
さて、いつも言っているようにシリアスなら穴があってはならない。この手のエイリアンものなら、普通はツッコミどころを作らないものだ。しかしこの悪役となるロシアの大佐は変である。目的がエイリアンを武器とすることなら、モスクワへ虚偽の報告をして隠密に事を進めてどうするのか。国家機密の陰謀といった流れにすれば自然なのに、脚本上できない不自由な国家の柵が透けてくる。
それ以上に、主人公の幼少時代の映像をエイリアンが寄生した男の息子と勘違いするよう仕組んだ展開に意味を見出せない。ラストにそれが分かって「なるほど!そうなのか・・」と唸らせるものが無いからだ。本来なら主人公の子供時代が、本編の流れに影響を与えていなければ無用な騙しであり、どんでん返しにもなっていない。
明らかに脚本と演出が符合していないと判断した。主題をエイリアンではなく、主人公そのものに置けば素晴らしい作品になった気がする。
この予告もヒデエしろものだ。