シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

石川さゆりの新録音

 石川さゆりの解説をするつもりはない。彼女の「津軽海峡冬景色」は、オイラが唯一持っている演歌のレコードであり、当然ながら懐メロCDを収集し始めてからは彼女の全集を手に入れている。

 人気の演歌歌手は毎年のように全集を出す(笑)ので、一枚あれば十分である。どうせ2~3曲ぐらいしか聴かないのだ。ちなみに、「天城越え」は数ある試聴曲の一つとなっている。さて、彼女が日本コロムビアからポニーキャニオンへ移籍したとき、人気曲の再録音をしていたようだ。同じような全集を買おうとは思わないので気がつかなかった。1995年発売の「石川さゆり特選集」で、津軽海峡冬景色と天城越えが新録音されている。対して、所有している2004年発売の「石川さゆりベスト&ベスト」では、初期録音の方が収録されていて面白い。そういえば以前、大橋純子の再販CDを話題にしたことがあった。(2019-4-1 大橋純子 参照)あれはもう、完全にアコースティックバージョンといっていいほどの違いがあったが、今回はどうだろうか。

 これまた段違いだ。大橋純子のように曲調を変えているわけではなく、オリジナルの風情を基本的に変えてはいない。しかし、声は奥行とエコーを重視して滑らかな質感へ変貌している。演奏はさらにオフぎみで、もどかしいほどだ。おそらくこれが今のスタンダードなのだろうが、オイラは気に入らない。初期盤の方が荒くてシンプルであるが、力と情感が迫ってくる。新録音は作為的な加工が強く感じられ、彼女の微細なニュアンスが均されているようで残念だ。

 演歌を楽しむファンがこんな改変を望んだとは思えない。石川さゆりの代表曲は、日本コロムビア時代の音で聴くことをお勧めする。

再録音された1995年は、DACもハイビットやハイサンプリングによる高音質化が始まった頃で、音は「広く細かく刺激無く」が良しとされた時代だった気がする。この録音にもそんな傾向が伺えるようだ。