シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

歌姫

 歌姫は中森明菜が1994年以降にヒットさせたカバーシリーズで、トータル150万枚売り上げているらしい。
 らしいとは、実はオイラ全く知らなかったのだ。中森明菜と言えば、ヒット曲を連発してTV界の引っ張り凧だった頃の印象しかない。そもそもアイドルはTVに映らなくなれば記憶から消えていく存在なのだ。
 このカバー作品集のベスト盤である2枚組「オールタイム・ベスト‐歌姫‐」を買ってみた。普通なら3500円以上もするCDを内容も知らずに買うことはしない。これが再販売としてSHM—CD仕様となり、2130円に期間限定プライスダウンと知れば衝動買いもしたくなるわけだ。
 昔からの著名な日本歌謡曲をどう歌うのか、歌が上手いのは分かるが個性的な彼女ゆえに大変興味があった。そして、聴いてみた印象は実に楽しいものであった。
 まず、カバー集とは思えないほどバックの演奏が気合十分である。そして、意外なほどオリジナルをリスペクトした歌唱だ。巷でよくある小娘が有名曲をポップで軽薄なアレンジで歌うものとは違う。録音も良く、歌謡曲とは思えないほど聴感レンジが広い。
 特にオイラが興味を惹いたのは演歌で、「天城越え」「越冬つばめ」「夜桜お七」には感心した。明菜が演歌を歌うというだけで興味深々だったのが、見事なものである。それは雄大なスケール感を持ったアレンジで、オリジナルを凌ぐほどだ。しっかり和楽器を使った演奏に、彼女の消え入るように歌うハスキーボイスが違和感なく乗っている。面白いのは、これだけ和を強調しても演歌の匂いが無いことで、新しいジャンルの音楽を見聞したかのように感じた。
 ただ、明菜の曲は再生が難しい。彼女の声は抜けてこないから、籠ろうとする声をキッチリ出さないと魅力がでない。やはりイコライザーが欲しくなる。