2021年公開のB級戦争映画。新型コロナ席巻中でもあり、劇場未公開である。
本作は、第一次世界大戦中の史実を脚色していながらも真面目に作り込んでいる。前回レビューした「ロスト・シティZ~」も実話に基づいた伝記ものであったので、比較すると着眼点の違いが面白い。「ロスト・シティZ~」は伝記となった主人公の冒険に主眼を置かず、社会背景の変化にあらがう野心の姿を描く事を骨子とした。よって、冒険で起こる出来事を派手に演出せず(誰も知らないのだからしてもいいのに・・)、地味で評論家受けする作風となった。
対して本作は、国への忠誠心が強い鉱山労働者が戦地で危険な穴掘り作戦を全うする話で、帰国もせずに己の野心を戦場にぶつけていく。その姿を描くために史実と異なる脚色も良しとし、最前線の厳しい人間関係や敵との遭遇といった現場の模様がほとんどであり、まさに正反対だ。
よって、本作の構成ならもっと派手な戦闘やサスペンスを盛り込んでもいいのだが、史実の重みを裏切らない展開と結末にして重厚感を出している。地味になり過ぎず、エンタメにしないバランスとして好意的に受け取った。まあ、単に予算の制限のせいかもしれないけど。
※ユーチューブでは予告編が無いので残念。