2016年公開の米国製社会派サスペンス作品。本来、オイラのレビュージャンルではないが、どんでん返しが効いた良作だと聞いて観たくなった。
ロビイストという日本では馴染みの無い職業の世界を描いているので、観る前に予習が必要だ。政治の腐敗に繋がるスレスレの合法的存在で、大変な力を持つ存在であるらしい。汚職とイコールに思えるようでは遅れているのだろう。
そんなロビー活動の世界で面白い話にするには、分かりやすい題材での闘争劇が絵になる。本作もそんな流れの中、アクションも何もない地味な社会派ストーリーなのに、オイラがダレることなく引き込まれた。主役を演じるジェシカ・チャスティンを始め、多くの実力派俳優が質を高めている硬い布陣であり、そのストーリーには隙が無い。まあ、主人公が仲違いした(と思わせた)後輩に電話して、冷たくあしらわれた後に一人でキレる場面はやり過ぎではある。観客を騙すための演出っぽいからだ。それでも、「薬を飲んで精神を持たせている主人公」ということで納得させてしまう周到な脚本だ。とてもアマチュアが書いた話とは思えない。
そして聴衆をスカっとさせるクライマックス。敵陣が必ず不正に走ると確信して、最初から仕組んだというのは出来過ぎの感ありだが、大逆転の興奮がこれまでのうっ憤を払拭することでスカっとさせてくれる。
このカッコいい主人公が、服役を終えてラストに待っていた人物を見上げる場面で終えるのは実に大人っぽい。だれが刑期を終えるのを待って出迎えたのか・・想像する楽しみを観客に残したエンディングは見事であった。
どんでん返しより、ヒーローではないけど主人公が抜群にカッコいい映画ランキング・・とか、ユーチューブでやれば上位に入りそうな作品だ。