シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

トライオード試聴会

 二日に渡るトライオードの試聴会に出向いてみた。

 スピーカーはスペンドールのClassic100、これをKT88プッシュブルのEVOLUTIONと300BパラのTRZ-300W、そして845シングルのJUNONE845Sで駆動する。山崎代表が自ら差し替え作業をしながら説明を行った。オイラにとってスペンドールは未知の音になるので、トライオード社の披露する音を味わうのが目的だ。

 まずは、山崎代表持参のソフトで会場を含めた音の傾向を掴もう。すると意外にも日本のポップスやジャズを掛けだした。Classic100の名にあるように、クラシックが得意なスピーカーだと思っていたからだ。その音は低音に十分なグリップが入ったパワフルなもので、刺激を抑えたコントロールの旨さが感じられる。駆動しているのは新商品のEVOLUTIONで、さすがKT88は力がある。このアンプ、管球アンプの変革を狙ったのか、電子ボリュームの採用やパワーON,OFFまでリモコン操作できる。そして、中央には派手な電光掲示板が目立つ。私的にかなりの違和感だ。

 次はTRZ-300Wだ。個人的には、300Bシングルの美しさを保ちながらパラレル駆動する本器に興味がある。いや、これは美しい!サラっとした繊細な高域の響きはやはり300Bらしさが出ている。しかし、パラっても相対的に低音が大人しい。

 そして最も高価で大仰なJUNONE845Sは、さすが不足感が微塵も無い。300Bの美しい響きを持ちながら、熱気とパワーがブイブイ迫ってくる。とても22Wの定格出力とは思えない。でも、45キロもある電気ストーブは部屋に置けない。

 客も減ったところで、ベストポジションに座り耳タコCDを掛けてもらう。差し替えも面倒だろうから、アンプはTRZ-300Wに固定した。すると、全域で音密度や奥行感を求めない甘美な音であることが分かった。これはスペンドールの個性なのだろうか?疑問が拭えず、翌日も顔を出す。こんどはEVOLUTIONで前日の耳タコCDを試聴してみた。やはり低音の力感は見事で、キレもいい。総合的に満足度はTRZ-300Wより上だ。しかしやはり音像はフワフワで奥行きが浅い。この恵まれたセッティングで奥行きが出ないのは、古風なスペンドールの確信犯であるような気がする。

 二日間の試聴会を終えて、当初違和感たっぷりだったEVOLUTIONに興味が湧いた。赤く派手な電光パネルも、離れてボリューム値が分かるのは、音量設定に拘るオイラには大変便利である。真空管プリメインでフォノを外した思い切りの良さもいい。今の社会情勢では真空管の安定供給に不安もあるが、趣味性の高い真空管アンプは生き残ってもらいたい。