シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

転機となった機器⑥ HARBETH HL5

 平成6年頃、ダイヤトーンDS-2000HRのストイックで冷徹な音に白旗を上げ、音楽性が高いと評判の本器に乗り換えた。専用台の無い中古品だったので、ウッドブロックで適当にセッティングしてみたら、直ぐに温かみのあるバランスのよい音が出て来て呆気に取られた。なるほど、これが音楽を聴くスピーカーか・・このときホっと安堵したのを覚えている。

 当時の日本製スピーカーは高剛性であって、駆動系はシンプル・イズ・ベストだった。対して海外では、よりソレらしく聴かせるために積極的な音造りが根底にあった。ハーベスは、叩くとボコッと鈍い音がする。その巧みな技術で響きをコントロールする考えはとても新鮮だった。このスピーカーは、優秀な物理特性だけでは音楽を楽しめないと、海外製の機器に目を向ける転機となった。

 一方で、当時はスピーカー工作に熱が入っており、故・長岡鉄男評論家の影響を強く受けていた。長岡氏は国産のハードでダイナミックな音を好み、音楽性という言葉は技術者の逃げだと看破していた。つまり彼は音楽を聴くためのオーディオではなく、リアルな音そのものを追っていたわけだ。そんな考えがオイラにも刷り込まれ、ハーベスというぬるま湯に長く浸かっていられなくなり、HL5はすぐに手放すことになる。この聴き心地の良さに優れた物理特性があれば・・こうして同じイギリス製のB&Wに出会い、自分の好む音が分かってくるのだった。