シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

懐古 オーディオ評論家 

 オーディオ評論家という怪しい職業がある事は、この趣味人になって初めて知った。30数年前の事である。以降、専門雑誌に登場する彼らの記事を、まるでアイドルのように見続けてきた。そんな影響を受けた評論家を懐古してみたい。なお、ここでは現在も現役で執筆されている御仁や、近年台頭している若手ライターは省いている。

 諸先輩方々からよく耳にする、瀬川冬樹、五味康祐はオイラの時代ではない。バブルの頃から始まったオーディオ熱は、やはり長岡鉄男の影響が一番大きかった。コント作家ゆえの分かりやすくて楽しい文章は、初心者にもとっつきやすく、スピーカー工作に嵌ることでオーディオ熱が爆発したと言っていい。

 その対極の立場で執筆されていた江川三郎、金子英男のスタイルにも興味を覚え、著書も本屋で取り寄せてもらったものだ。とくに金子英男の対策グッズは、当時の工作熱の高まりでブチル漬けになった。当時、長岡鉄男と金子英男が同じシステムを好みにセッティングし、互いの音を評価しあう企画が実に面白かった。音の鮮烈なリアリティを追求する事と、音楽の内面まで表現しようとするスタイルはまさに水と油であった。ただ、この3名は初心者には孤高の存在だったので、より身近な印象のある入江順一郎の執筆をかなり参考にした。

 彼らが健筆されていたミレニアム以前が一番面白かった。それはアナログより音が悪くなったと悪評されたCDを、なんとかしようとメーカーが必死になっていた時代だ。あらゆるアイディアが生まれ、物量を投下した機器が生まれた時代だった。その後、SACDDVDオーディオという規格がもてはやされ、長岡鉄男が勝手にしてくれと言わんばかりのタイミングで他界された。正直言って、オイラのオーディオ熱は2000年を境に冷めたと言っていい。つまりこの20年はあの頃の余韻で続いているような塩梅なのだ。

 そしてネットオーディオ、ハイレゾの時代になり、ますますついて行けなくなった。それでも趣味人でいられるのは、同じ境遇の人が多いからだろう。