シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

人魚姫

 2016年公開の中国製ファンタジーコメディ作品。

 監督はチャウ・シンチーで、本国で最大のメガヒットを飛ばした。アンデルセンの人魚姫は人魚の悲恋を描いた名作とされるが、当時の西欧文化が今の時代とは相容れないため、全く違うストーリーだ。それは今の中国を反映したテーマをエンタメとして表現したもので、コメディと言いながらも笑えるしろものではない。

 チャウ・シンチーは「少林サッカー」や「カンフーハッスル」で爆発的にヒットメーカーとなった。その理由は、スポーツや武道をマンガチックに実写で魅せる笑いが世界中でうけたのだ。時折挟むギャグが面白い訳ではない。まあ、あれだけ連発すればクスリとくるものはあるが・・そこには貧しい者が立ち上がるテーマが単純に感動を誘う流れがあって、毒がないのがジャッキー・チェンの作品同様に美徳であった。ところが本作は虐げられる人魚と非道な人間を題材にして、環境問題や人権問題に切り込もうとしている。そこに笑いは見いだせない。対して、本題前の序盤はくだらなすぎて見る気が無くなってくる。

 人魚の居場所がバレてからはもはやコメディではなく、クライマックスまで人魚を残虐に殺しまくる悪党と逃げ回る血だらけの人魚に目を覆いたくなる。不要と思えるこうした表現が中国人に受け入れられる理由は、南京大虐殺を風刺しているからだろう。それはテーマ曲を「ドラゴン怒りの鉄拳」のインストとしていることで分かる。ズバリ悪党を日本企業の設定にして人魚に翻弄されるならコメディとしていいが、あえて日本と言わずに裏テーマとしている事が笑えない。

 こうした作品がメガヒットするのが今どきの中国なのだろう。


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