今年は新型コロナのため、本当に新作の公開が少ない。そんな中のディズニー配給によるA級作品。
極寒のカナダが舞台で、ゴールドラッシュの時代が舞台となる。というのも、120年ほど前の有名な小説が原作だからだ。何度も映画化されたらしいが、オイラは未見だ。
本作は主人公が犬であり、ぬるま湯で我がままにに育ってきた大型犬が人間の都合で冒険を強いられ、野生に戻っていく話である。昔はリアルで撮影するしかないので、こうした動物映画は難しい。ドキュメンタリーではないから、映像でストーリーを訴えていかなければならないのだ。犬は俳優ではないのである。犬を主役としたある有名な感動作で、何匹も主役犬を交代した話は当然なのだ。
また、こうした作品には美しく雄大な大自然が欠かせない。リアルで撮るとなると、運が良くなければベストな映像は不可能に近い。黒澤明が、背景の雲が気に入らないと言って、1シーンのために役者を何日も缶詰にした。こうした問題を今、見事に解決してくれる技術がある。高度を極めたCGだ。
本作はディズニーの卓越した動物描写と、アニメで培った表現力、そしてそれを実現する資本力があって完成された見事な作品だ。特に、言葉を話せない犬の冒険を豊かな表情で感情表現しているのが素晴らしい。長年アニメーションでやってきた事だが、それをリアルで役者のように魅せる域に高めた技術と努力に拍手を送りたい。
また、親子で鑑賞するディズニー作品らしく、原作にある辛辣なシーンは削って、代わりにダイナミックなアクションを加えているのもいい。ハリソン・フォードの抑えた演技も好感が持てる。こうした作品でたまには心を洗いたいものだ。