シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

 一番良い席が予約なしで空いていてラッキーな鑑賞。例によって、予備知識は予告編くらいで観に行ってきた。
 これは予想以上に面白かったと正直に言っておこう。1年前のエピソードⅦより遥かに面白く、お勧めだ。エドワード監督はゴジラでは今一つであったが、本作で見事に株を上げた。彼は今後SFアクション作品では名をはせるだろう。
 監督本人もブッチャケているが、面白い活劇の美味しいシーンがオマージュとして見受けられる。しかしわざとらしさを感じることもなく、後述する真剣な造りに味として機能していると感じた。
 物語自体は、世界観が決まっているので勝手な話は作れない。さらに、エピソードⅢとⅣの間という縛りもあるため、SFギミックすらオリジナリティを出せない。ではどこに魅力を加えられるのか?そこに感心したのでお勧めなのだ。
 もう人間と作風そのものを魅力的にするしかない。それが見事に功を奏している。出演者は皆個性的で魅力に溢れているのだ。脇のさらに脇をマッツ・ミケルセンフォレスト・ウィテカーが引き締めているので、重みもある。ドニー・イエンの座頭市オマージュも決してお笑いではない。事実、笑いを誘うようなシーンは一つもないのだ。
 SWは戦争を主軸とした大河ドラマであるが、スペースファンタジーとして認識されているから、生々しい表現はご法度だ。本作はリアリティをもってその壁に切り込んだ。それも絶妙なセンスでだ。その緊張感は、ロボットがほぐす役割を担っている。それでも決してC3POのような三の線を演じてはいない。
 主演女優のフェリシティ・ジョーンズは素晴らしい。もうオイラ好みなので絶対悪く言わない。r(^ω^*))) キュートでありながら凛としたオーラがあって、そうそうたる俳優陣の中で決して埋もれない。また、彼女に限らず本作では誰一人笑顔を見せない。ここは戦場なのだ。
 こうした俳優陣の演技はスペースファンタジーとは思えないリアルさを感じる。そして、戦闘シーンにもそれが呼応していて、地上戦はまさに戦争映画に近い映像表現だ。見慣れたギミックが出てこないと、SWであることを忘れてしまうほどである。これはスピンオフならではの監督の思い切りだろう。よくディズニーがOKしたと思う。
 怒涛の展開は中だるみもせず、スケール感タップリにクライマックスの頂点まで達する。しかしそこで終わらず、主役達が全ていなくなった後のラストが実に見事であった。突進する無敵のダースベイダーと逃げる反乱軍、最後のエピソードⅣに繋ぐラストは観客がSWの世界であったことを再認識するのだ。本作はハッピーエンドとは言えないが、是非リピートしたい娯楽作品。

映像の美しさも歴代随一だ。