2017年公開の、3か国共同製作によるＡ級ハードボイルドアクション作品。
本作は、なんといってもジャッキーチェンとピアースブロスナンが共演という、実に意外な取り合わせだ。ただ、この2人には共通点として、共にアクション俳優としては峠を過ぎており、近年はハードな作品に挑んでいるという点がある。この作品はそれが見事に開花したと言っていい。
昔は超人的な殺し屋がある理由を持って引退し、ひっそり過ごしていると、無慈悲な事件に絡まれて怒り爆発、昔取った杵柄で敵を倒しまくる・・これ、よくある話だ。本作もそのパターンなのだが、北アイルランド問題を背景にしてテロとの絡みが実に巧い脚本である。昔、過激派だった男が改心して政治家になっている苦悩をブロスナンがよく演じている。それに主人公のジャッキーが素晴らしい。哀れな中国人の老人風情がよく出ていて、それが敵を翻弄していく様が大変画になっている。また、ハードボイルドであっても製作に加わったジャッキーとして、一線は超えていないのも他作には無いセンス。それが不自然でないのが彼ならではである。つまり、笑いの無いジャッキーという存在があって成立する作品だったと思う。
