昨年公開したブラピ主演のSF作品。批評家に好意的に受け入れられているらしく、ということは・・やはりツマラナイ作品であった。
主役の性格描写を、アクションを挟みながら魅せる構成手腕は買いたい。おかげでこの地味な作品を最後まで飽きずに鑑賞できた。それゆえに失望感が拭えないのだが。
まず、豪華俳優陣を呼んで贅沢な使いっぷりに呆れる。そもそも、B級SF映画に相応しいストーリーであり、それらに見慣れた目には無駄にA級品に仕上げたとしか感じられない。いやいや、そんな下世話な感想を跳ね返す人間ドラマがある・・だから余計に暗く重いB級色な印象になるのだ。
徹底したハードSFの作り込みが背景にあればいいが、致命的に穴がある。海王星まで70日で行ける技術設定とSFギミックがマッチしていないので、こりゃ何年後の話だ?と困惑してしまう。さらに反物質の利活用まで登場しては困惑するばかり。星野之宣の「2001夜物語」を読んでもらいたい。
それでもクライマックス手前までは目をつむった。それが予想通りの親子の別れと、ブラピのムチャクチャな地球までの帰還描写には唖然とするしかない。帰りはタクシーで帰るほどの距離に見えてならない。60年前の「地底探検」で、最後は火山の噴火を利用して一気に地表へ到着~の方がまだいい。
徹底的にハードに作り上げてこそ人間ドラマが生きるケースなのに、まさに半端な造りでブラピの演技を濁している。