2013年公開の侵略系B級SF作品。
主演はシアーシャ・ローナンで、本作では原作に沿ったラブリーな主人公を演じる。監督がアンドリュー・ニコルなので、B級SFとなれば「ガタカ」レベルをどうしても期待してしまう。その結果は、地味ながらも彼らしい緊迫感とじっくりまとめ上げる手腕を感じたが、中途半端な凡作に終わった。
原作がラブロマンスを軸に置いているためか、それがどうしても切れない要素だったのだろう。本作のような侵略系SFに結末をつける本筋には、邪魔な要素であることは間違いない。ましてや、ややこしいロマンスはもっとミクロな造りですべきであって、単純に言えばTVドラマでやることである。よって、本作は最後の最後までTVドラマの第1作目なのかと思った。
アクションの無い地味なSFも内容が良ければいい。ガタカもそうだった。この作品には必要な描写が抜け落ちている。体を乗っ取った異生命体の視点で展開する割に、何の葛藤もないのはいかがなものか。ホストの内なる声とのやりとりも浅く、善悪と平和、愛憎等の地球人に対する疑問と理解がまったく描写されていない。「寄生獣」を読んでから脚本を考えてもらいたいものだ。