シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

PROSPECT プロスペクト

 昨年製作されたB級SF作品。個性的な匂いを感じて迷わずレンタル。勘は当たるもので、他にはないセンスが光る一品だ。

 予算が無いのを逆手に取り、SF作品に不可欠の未来感をあえて古いアナログチックなメカギミックで通すことで、作品の味に変えている。それが、一獲千金を狙う貧乏な流浪者を主人公とする本作にマッチしているのだ。

 汚染された惑星で、トレジャーハンター親子の活躍を描くのかと思いきや、序盤で父親は殺されてしまい、その娘と仇との間に生存のためのタッグが生まれる。そしてそのコンビの間に、死んだグータラ親父以上の信頼感が芽生えていく話だ。この2人に降りかかる苦難は、金のかかるCG生物などではなく、その世界ならではの生業の衝突であって、生き様である。それは実に緊迫感が高い。

 主役のソフィー・タッチャーというティーンは結構キュートだ。父親が死んでも、メスで腕を切り落としても、表情すら変えない主人公を演じる。当初はダイコンかと思ったが、高い緊張の続く場面で惹き付ける内面を魅せている。だから、コンビとなるペドロ・パスカルの濃い演技に呑まれていない。大したものだ。

 独特な暗い世界観で、その一端を切り取ったような小品なので、深夜映画にピッタリな佳作だ。


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