今頃になって、満を期しての鑑賞である。
このA級SF大作を今まで観なかった理由は、長すぎるからだ。オイラは2時間でも長いと感じる性分なので、3時間レベルの本作やロード・オブ・ザ・リング、2001年宇宙の旅などは明らかに対象外だ。早送り無くして2度と観ないだろう。
しかし、この作品は名作の予感があった。だから極力予備知識無しで、暇と気合が充実するのを待っていたのだ。そしてそれは間違いではなかった。
本作を一言でいえば、星野之宣作品の実写化だ。あらゆるシーンが星野リゾート色に満喫されている。ベースとなるアイディアは40年近く前の短編SF「遠い呼び声」なのは間違いない。これは星野ファンなら、この作品の序盤で幽霊の話をするシーンを観た瞬間に感づくだろう。事実、オイラもクライマックスが読めた。それでも観終わって感動と満足が得られるから名品なのだ。
俳優のチョイスがいい。マシュー・マコノヒーを主役にして、マット・デイモンをあんな役で起用する大胆さは恐れ入った。ヒロインのアン・ハサウェイは、まさに星野劇画から抜け出たほどピッタリである。
星野之宣といえは、ガチでハードSFの代表者。そしてこの実写再現は見事に尽きる。相対性理論くらいは知って観ないとアポ〜ンになってしまう。これだけハードに作り込んでも隙が無く、しかも近未来の近視眼的な話に逃げていないのが凄い。このスケールの大きさが、難解な科学考証をベースにしても窮屈に感じさせないのだろう。
未知の星の風景、宇宙船の造形、愛する者との並行した話の展開とその感動的な結び、すべてが星野之宣である。いつかは実写化してほしいと望んでいた彼の世界を、見事に実現してくれたクリストファー・ノーランに感謝したい。
ノーラン監督にとって、インセプションや本作が本懐だろう。