シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

ルビジウム・クロックCD 「桂銀淑」編

 ルビジウム・クロックはセシウムに次ぐ超高精度発信器で、これをデジタルオーディオに使うことは大変贅沢な仕様である。もちろん、それは精度の高い音質に寄与され、その効果のほどはオイラも外付けクロックを使っているので実感している。そのルビジウム・クロックを、CDのマスタリングプロセスに使用している安価な復刻盤があることを知った。そのシリーズから桂銀淑テレサ・テンを入手したので、自宅のCDと比較してみよう。
 桂銀淑と言えば今、覚醒剤でボロボロになっているが、それが過去のモノ悲しいヒット曲の末路のようで感慨深い。彼女のディスクは当然持っている。ハスキーで歌の上手いスナックの美人ママが、都会の喧騒と悲恋を歌い上げる様は実に絵になる。彼女の曲はまさに疲れた都会に的を得たものだ。
 クロックの精度による音質差は聴き分けに自信がある。ところが、今回は予想外に苦戦した。比較試聴の2枚は共にベスト盤で、つまりオムニバスである。切り貼り作業の中で、収録音量も一律になっていないのだ。今回、3曲ほどで確認を試みたが、いずれも同じ音圧に揃えるのに異なるボリューム調整が必要。幸い、マスタリングに作為的な音質のいじくりが無いので救われた。これで音色まで手を入れられていたらお手上げである。
 結果、通常CD盤はメリハリと押しが強くて明るく、一聴するとクッキリとした良い印象を持ちやすい。対してルビジウム盤は、奥行きが深くて大人しいが、ボーカルの存在感は明らかに上。かといって、音像寄りということもなく音場の広がりも大きい。ぶっちゃけて言えば自然だ。
 これは昔まだTVがブラウン管の頃、店頭で色がクッキリして見栄えがいいと気を引くのがSONYで、地味だが緻密で自然な画を魅せたビクターとの違いを思い出させる。