シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

アンドレギャニオン

 アンドレギャニオンはカナダのアーティストで、20世紀末にヒーリング・ブームを巻き起こしたと言える。彼の音楽はそれ以前のイージーリスニングとは異なり、実に「静」的であって、それでいてドラマチックである。また、その辺りがサティの系譜となる環境音楽とも異なる部分だ。この静かなドラマにオイラは琴線を擽られた。どの曲もマイナーコードで実に美しく、カナダの自然と日本の哀愁が共通して感化するメロディにうっとりしたものだった。
 彼のベスト盤はこれまでもあったが、K2HDマスタリングとHQCD仕様で発売された。実はこれ、1年ほど前から注目していたディスクだ。それを今回購入、自宅にあるこれまでの名曲ディスクと比較試聴してみることにした。
 10数年ぶりに聴くアンドレギャニオンのCDは、以前より高音質に聴こえる。これはオーディオを趣味としてきた成果としていいだろう。条件を同じくして何曲か比較してみる。
 これは確かに違う。良し悪しは別として、厚みが増し低重心になっている。実はSHM−CDのポールモーリア・ベスト盤にいたく感激したのでその二番煎じを期待したのだが、どうも首を捻る事となった。
 確かに、このディスク単体として聴くなら申し分ないだろう。選曲も悪くない。え〜い・・ハッキリ言ってしまうおうか。このディスクは悪くは無いが、気に入らないのだ。その理由は明らかにリマスタリングで原音に操作している節があるからだ。
 この低重心で広がりを重視したサウンドは明らかに小音量再生を意識している。そりゃアンドレギャニオンの音楽を大音量で再生する人は居るまい。よって、小さな音でもピアノの音に厚みを感じてスケール感を表現できるように作り変えられていると思うのだ。これには失望である。オリジナルへのリスペクトがまったく欠如したリマスタリングだ。
 最たるは、「静かな生活」から選曲した3曲はすべて左右のチャンネルが逆になっている。何のために?それ以外にも鼻に付く操作が見聞でき、オリジナル盤を持っている人には改変と言っていい変わり様である。
 初めてアンドレギャニオンの音楽に接する人には文句無くお勧めの盤だ。しかし、オリジナルを大切にするなら、SNと、音抜けの改善に留めて貰いたいものである。