管球アンプのエアータイトで有名なA&Mがスピーカーを発売した。それが表題のAL-03で、名前のとおりボーカル再生を目的に作られたものだ。
これが懇意のショップに置かれているので聴いてみた。まず見た目が実に小さい。フォステクスの8センチユニットで作っても、これほど小さい箱には入れない。少しでも低域を稼ぐためかスリットのバスレフ型で、その仕上げは見事なものだ。背面のSP端子も豪華。金属製のユニットにアルニコのマグネットを採用した、オリジナルフルレンジユニットのシンプル設計である。
価格を聞けばセットで15万円ときた。まあ、FALのフルレンジを使っているオイラはこのくらいでは驚かない。( ̄▽ ̄) 管球プリメインのラックスマンLX-32uで駆動してみよう。
音が出て、ものの数秒で高品位な質感を持っているのが分かる。金属コーンの癖も感じられず、声楽のハリもピーキーにならない。むしろハイエンド方向の伸長はツィーターがまったく不要のメリットを感じた。感心したのは、この個体にしてなかなか低域も頑張っているのだ。
豊かさとは無縁であるが、ニアフィールドでボーカルを聴くシステムとして、実に贅沢な逸品だと思う。どうやら限定生産のようで、僅かしか作られないらしい。コレクター買いしてみたくなる人もいるに違いない。