地上波で放映したのでジックリ鑑賞してみた。
さすが三谷監督、ツボを心得た造りが見事だ。それは、笑いのツボであり、時代劇のツボであり、観客を引きつけるツボだ。
俳優陣は実に豪華、「ステキな金縛り」を上回るのではないか。そういえば、西田敏行が更科六兵衛役で本作にゲスト出演している。これはコメディとして上手い。トイストーリーに、バグスライフのメンバーが顔を出すのと同じである。
清洲会議は史実そのものであるが、戦いもなにもない戦国時代劇という発想がスバラシイ。その地味な題材を個性溢れる俳優陣がイキイキと演じているのでまったくダレることもなく、観る者を引っ張る。2人の主役、大泉洋と役所広司は見事だった。周囲をとりまく複雑な相関関係も、歴史に浅い人間でも分かりやすく魅せてくれる。しかも解説無しでだ!これはぶったまげるほどスゴイことである。
ときおり現代風な言い回しを入れて笑いを誘い、運動会もどきの対抗戦など、やもすればマンガチックになりそうなのに時代劇としてまとめ上げている。これは他の時代劇以上に忠実な美術センスも無関係ではあるまい。鈴木京香と剛力彩芽にお歯黒眉無しを施せば不気味になる。でも不気味な役だから違和感がない。
ベタ褒めのようだが、どうしても史実をベースにした作品は、夢のある感動を最後に持ってくるのは難しい。ステキな金縛りのような温まるハッピーエンドで心揺さぶるのは無理なのだ。しかし、やっぱり日本のコメディは面白い。