2010年公開の近未来SF作品。主演はジェード・ロウ、彼はSF映画の顔と言ってもいいだろう。そして名脇役のフォレスト・ウィテカーが相棒として登場する。
話は人工臓器が当たり前の社会で、高額代金未納者の人工臓器回収屋の活動が焦点となる。本作は、この酷い臓器回収による殺人が合法化しているというトンデモ社会の世界感が見事に表現されている。
スプラッターな場面も明るい音楽でぼかしてしまい、全編通してブラック・ジョークで客を煙に巻く。その風情がすぐ掴めるので、まともに見ようと腰を据えなくてもいいことが分かるのだ。案の定、後半の本社突入場面はもう笑えるレベルにジョークを表に出している。
しかし目的を果たすために取った主人公の方法は常人には思いもよらないもので、変態の発想力だ。 この無名監督はきっと変人にちがいない。( ̄▽ ̄)
ラストのアッと驚くドンデン返しは、実は中盤にチラリと伏線が張ってあり、オイラはピンときた。しかし、先の見えない展開に引き込まれてそんな細かい撒餌はすぐに忘れてしまう。ハッピーに終わらせないこのラストは本作に相応しいものだろう。
どことなくクローネンバーグ監督のSFに近い匂いがするし、個人的に好きな部類の作風ではない。尺も長すぎる。