シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

スカイフォール (ネタバレ)

 予告通りOO7スカイフォールを観てきた。このシリーズは巨悪に単身立ち向かうスパイヒーローのパターンと、遺恨や復讐といった個人的思惑で展開するパターンがあり、本作は後者にあたる。実はこのパターンの作品は駄作になりやすく、「黄金銃を持つ男」「消されたライセンス」がいい例である。では本作はどうだったのかというと、単なる復讐劇とせず世代交代や擬似母子関係に置いたことで深みのある内容になっている。しかしその静的なテーマがアクション映画としては重苦しい印象を与えているようにも感じる。ゆえに上映時間が前作より40分近く長いのも間延びした印象が拭えない。
 前半の長崎の軍艦島ロケシーンまでは実に面白いのだ。そこから首謀者をロンドンに連れ帰ってからが盛り上がるどころか奈落へ落ちていく一方。どんどん暗く重い映像になっていく。ボンドの故郷スカイフォールに至ってはもはや恐怖映画に相応しい。敵の目的はただMへの復讐であり、対してボンドはなんと、クライマックスで守りに入るのだ。OO7に有り得ない、まさに空が落ちてしまったような違和感。さらにこの悪役の怪演がサスペンス色を色濃くしている。
 昨今流行りのハード路線を堅持するのもいいが、これは諸刃の剣であって夢のあるスケールの大きな娯楽作品が作りにくい。リアリティ追求の代償だ。結果、ボンドの肉弾戦をより過激な方向へアップして重い内容を踏みしめていく作風が固定しがちとなる。
 Qやマニーペニーの登場は歓迎である。Mも含めて世代交代はいいが、冒頭から気になるのがクレイグ3作目にしてすでにベテラン設定になっていることだ。本作を新たなスタートラインと踏まえた場合、この先もワイルド・ボンドで突き進むのだろうか。
 新生Qはコンピューターオタクのような若造に変更、このタイプと主役との絡みはアクションドラマでよくあるパターンだ。ガラス製の檻といい、ニキータが出てきそう。
 ゴールドフィンガーのDB5が馴染みのテーマ曲とともに登場したときは歓喜モノであった。何にしろクレイグ・ボンドはまだまだ続く。今後の新生MI6をどんな路線で魅せてくれるのか楽しみである。

この予告には2つの疑問がある。
列車上の2人にライフルで狙うマニーペニーへMがボンドを撃てと命令しているのは?
Qが開発した銃は撃った相手を追跡できる?
予告編でデタラメを言ってはいかん。(`・ω・´)