シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

65/シックスティ・ファイブ

2023年公開のB級SF作品。

 大昔に先進文明を持った異星人が、宇宙船の事故で6500万年前の地球に墜落し、生き残った主人公と9歳の女の子が協力してサバイバルする話。2人は赤の他人で言葉が通じない中、恐竜がうじゃうじゃする白亜紀の地球で必死の戦いが見せ場だ。

 主演はアダム・ドライバー、髭が似合っている。本作は演者を極少にして予算を恐竜世界のCGにフル投資しただけあって、ジュラシックシリーズと同等のリアリティを魅せてくれる。しかし、それだけであってそれ以上のものは何も無い。基本的に大変古典的なシナリオであり、結局最後は助かって良かったね~で締めくくるだけの話である。

 それなりに緊迫感もあってダレることなく90分を駆けていくが、構成が悪くて変なところで観客を戸惑わせてしまう。たとえば、冷凍装置から助け出した少女を置いて探索にでかけ、主人公が一人の少女を見つけるシーン。オイラはこれ、別の少女かと思ってしまった。外で見つかる少女が唐突すぎるので、隙を見て部屋から抜け出したことが分かるカットが欲しい。閉じ込められた洞窟で、ろくな道具も無く諦めかけたところで小型爆弾を持っていたのに気が付くなんて、バカすぎる脚本だ。クライマックスで主人公が少女に自分の娘は死んだことを告白するが、そんなシーンは最後まで無いため、2人のサバイバルに主人公への感情移入ができない。こんな単純な話で観客が戸惑うような組み立てをするのは失敗作である。

 わざわざ太古の地球を持ち出しておきながら、ラストにSFらしい落ちが無いのもガッカリだ。それなら別の惑星にすれば既視感の強い恐竜にこだわることも無い。もっと夢のある怪物が創造できただろう。まあ、そうなるとさらによく見かけるB級モンスター映画になってしまうか。


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