シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

ホワイト・スペース

 2019年公開のアメリカ・ハンガリー合作B級SF作品。

 久しぶりにスペース・オペラを観たくて視聴。まず、序盤で感じたのは本格的な特殊効果演出で、僅かな地球での未来都市の描写にも手抜かりが無い。もしかしてA級作品なのかと思ったほどだ。ググってみれば、監督は無名なれど本来その道のプロだという。本作の主たる舞台は宇宙船内の密室劇で、登場人物は少ない。その分、分かりやすくて予算も抑えられよう。

 物語は食糧難の未来、外宇宙の生物を捕獲して地球の食料としてしているというユニークな世界で展開する。そこで出合う幻の大物「天竜」を追う漁師の話だ。船名といい、ラストの描写といい、明らかに「白鯨」の宇宙版リメイクである。「白鯨」の映画は幼少の頃、洋画劇場でグレゴリーペックの作品を観たが、主人公が死ぬシーンしか覚えていない。でも、こんな品の無い演出ではなかったはずだ。これは、名作をB級テイストてんこ盛りのゲテモノ作品に作り直した作品である。

 それはそれで思い切った革新だ。しかし原題も「Beyond White Space」とあるように、主題とは的外れなのがいけない。本筋と関係の無い「エイリアン」のような密室内殺戮はやめて、ホワイトスペースの彼方に何があるのか描いた方がいいんじゃないか。ただ、この監督はソレを分かってやっている気がする。それでも宇宙版白鯨として、主人公の断末は描くべきだろう。


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