シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

ビースト

 2022年公開のB級アクション・スリラー作品。まだコロナ禍であるにもかかわらず、A級品並みのCMで呼び込んでいた記憶がある。

 主演はイドリス・エルバで、脇として「第9地区」や「エリジウム」で名を売ったシャールト・コプリーが登場。本作は確執を持った親子が目前の危機を共に乗り超えることで、家族がまとまるという鉄板の脚本。シンプルゆえに悪魔と化したライオンの恐怖が100%伝わる緊迫感を出している。このCGによるライオンが見事な映像である。

 現実的なモンスターパニック作というと、サメを題材とする作品が多い。ライオンはむしろ、コミカルで愛嬌のある紳士的動物として扱われることがほとんどであった。それを復讐に駆られるモンスターとしたのが新しく、非現実的な化け物をCGで魅せるより恐怖感は遥かに大きい。登場人物をほとんど身内に絞ったことで集中が途切れず、90分強の時間の中でとてもよくまとまった佳作だ。

 唯一難癖をつけるなら、いよいよ危機の始まりとなる場面で、安易に個人行動にでる大人の行動には苦笑した。明らかに襲われに行くようなものだ。まあ、そうでもしないと危機感を煽れないのかもしれないが、もっと自然な演出があってもいいだろう。

 ラストにサバンナでの長閑な家族の描写で終わることで、子供のトラウマ回避と後味を考慮しているのが分かる。幼少の子供が本当にこんな体験をすれば、ライオンどころかアフリカに嫌悪感を持つことだろう。


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