シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

オーディオの闇との折り合い

 最近、ユーチューブを見ることが多くなった。TVで簡単に見ることが可能になったからだが、オーディオに関するものはあえて見てこなかった。どうせ技術者の批判的な動画ばかりだろうと思っていたからだ。

 しかしやはり気になるので検索視聴してみる事に。すると、なかなか刺激的な動画がうようよしている。ただ、興味をひかせるために題名は大げさになっているもので、内容を見ると結構真面目に解説していて面白くなってきた。技術者は測定結果とブラインドテストを武器にオーディオの闇を看破していく。オイラも昔と違い、還暦を迎えた今はこうした投稿に清々しさを感じている。

 オーディオの電気工学を逸脱した風潮については、昔から理系と文系とで喧々諤々の不毛な議論が繰り返された。オーディオ掲示板が隆盛を誇っていた頃は、オイラも熱に感化されて参加したのが懐かしい。今思えばMr.スポックとDr.マッコイの口論みたいなものだった。もちろんオイラは文系の立場で、オカルトチックな変化も容認する立場である。理論をバックに公言する理系派の発言は、もっともだと思う。また、昔のオーディオはそれに乗っ取っていたと思う。やはり、デジタルという目に見えない世界になってから怪しい似非科学有識者の経験論が幅を聴かせて、妙な趣味の方向に進んでいったように思える。

 オーディオにおける聴感は、見た目と先入観に左右される。それは当然の事で、分かった上で楽しむのが趣味のオーディオだ。寺島靖国御大の開き直りも清々しい。多くの趣味人は正しい音を求めてはおらず、勝手に良いと思う音を自分の部屋で求めている。よって、ブラインドテストもユーザーの自宅でやるべきだと思う。やったところで好みかどうかとは関係のないテストで迷惑なだけだが。

 また、電気的に間違ったコマーシャルや幻想的理論で法外な価格を付けている風潮が非難の元凶なのだろうけど、それが世界的にまかり通って大きな産業になっている事実をどう考えるのだろう。大きな工場に多くの従業員を使い、当然電気工学の優秀な技術者を中心に設計されているはずである。たしかに、売れなければ意味が無いのでミテクレも重要だが、そんなあやしい産業がここまでまかり通るのも変だ。

 大体、オーディオの闇を突っつく識者は理屈が武器なのに主流になれないのが興味深い。できれば、オーディオ界に知らぬ人はいない重鎮がカミングアウトして、嘘で重ねられた世界を壊したくなかった・・と言ったら実に面白くなる。

 半面、普通?のオーディオマニアも負けじと動画アップしてはいるのだが、再生システムの前にマイクを置いた空気録音では、その聴感上の違いを示せない。むしろこの手法は測定器を武器とする理系派の土俵だ。そんな事は承知の上で、プラシーボと言われようが聴感上の音の変化を楽しんでいる。今では昔のような不毛の議論をする風潮は見られない。経験の長い趣味人はもう相手にしないで、この不思議な世界を楽しもうと判断したようだ。それが正解かもしれない。