シマの遠吠え (新生)

シマの遠吠えが新生しました。 でも内容は変わらず、素人オーディオ感、SFやアクション映画の感想を軽いフレーズで書き込みます。

「舞い上がれ」終了

 朝ドラ「舞い上がれ」が終了した。本作は大変巧みなシナリオに乗って、主人公が人生の壁を乗り越えていくのを素直に魅せた作品で、とても好感が持てた。

 なにより見ているものが皆応援したくなるキャラと、福原遥のおっとりした雰囲気がマッチしているので、ネガティブな感想がほとんど見られない。関西NHKながらもお笑いを一切封印したドラマにしたのもいい。

 脚本が秀逸で、冒頭のアニメーションからも完全にラストに集約する物語が出来上がっていたのであろう。ただ、ベタ褒めとはいかない。素晴らしいシナリオを持ちながら、それを最大に昇華させる演出になっていないのが残念だ。これは朝ドラ特有のクライマックスを足早に展開する癖が台無しにしていると思った。偉人の一代記なら晩年を略してもいいが、本作はそんな話ではないだろう。

 すべてのパートが伏線となって最後に主人公を舞い上がらせる話なのに、盛り上がりに欠けてしまった。具体的には、コンネクト立ち上げから空飛ぶ車へのパートはもっと緻密に演出するべきだ。航空学校編と岩倉の再建はもっと凝縮していい。特に正月に入ってからの暗い流れは長く視聴者に我慢を強いている。それでも最後は感動する大団円となっているだけに、実にもったいないと感じる。

 終盤足早に展開した弊害として、「かささぎ」の描写不足が大きい。このままでは、誰でも自由に行き来できる空飛ぶ車という説得力が無い。さらに、主人公が思い付きで描いたデザインが実現するという無茶な流れや、彼女の夢であった空への飛翔が実現する心のうちを描き込めていなかった。