2020年公開のノルウェー製B級SFアクション。北欧神話の雷神トールにまつわる話を現代劇の中でシリアス描いた作品だ。
監督や演者については、ググると無名ではないようだがオイラは知らない。割とゆっくりしたテンポながらも緊張感を持続させ、こちらの予想を外しながらクライマックスまで引っ張るのだから、製作陣それぞれに感心する手腕が伺えた。
ノルウェーの山間にある田舎町を舞台として、雷神トールの末裔が不可抗力で引き起こす事件に、苦悩する人間模様が描かれる。大変美しい北欧の風景が印象的で、特に悪人は出てこない。彼を始末しようとするアメリカのエージェントも悪意が有るわけではない。それは裏を返すと、大国アメリカの横暴な正当化で被害を受けるのはいつも善良な他国民だと訴えているようだ。
ラストの意外な結末にはオイラも驚いた。大きな悲劇となる主人公を何故かアメリカ人に設定している点からも、この監督は相当なアメリカ嫌いなのだろう。こうした批判を織り込むには、本作のようなB級SF作品が相応しい。
